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に、解析や考察において役立った。今後は、本物と模擬装置との間の相関関係等さらなる詳細解析において有用かつ貴重なデータとなることが期待される。
3. 動揺の少ない船型の開発;
動揺の少ない船型の開発を目標に、次の3船型について理論計算を行った。
フェリー船型;L=100m、高速艇船型;L=28.5m、双胴船型;L=28.5m
動揺を少なくするためには、就航予定海域の海象にたいして応答の少ない主要寸法を選択することが第1であるが、この手法は従来よく行われているところであり、かつ、経済的な制約が大きいので、ここでは敢えて現実的な船の長さを押さえ、形だけの影響を調査することにした。
この船長に対して、シリーズ計算を実施したが、各船型の特徴により、設定したシリーズは次の通りである。
単胴フェリー船型; L/B、フレームライン、浮心位置、中央積載面積係数
高速艇船型; L/B、船底傾斜角、浮心位置
双胴船型;L/B、B/d(デミハルとして)、双胴間隔
なお、単胴フェリー型に対しては、海象特性を認識するため、北大西洋、北太平洋、日本海の波スペクトルに対する応答、波浪中の抵抗増加も算定した。高速艇及び双胴船型に対してはその特性から、線形計算と非線形計算の比較も行った。
理論計算を検証するため、単胴フェリー船型について、原型と動揺の少ない船型の2隻の水槽試験を実施し、波長/船長≦1.5までは概ね一致するが、≧1.5では水槽試験結果が理論計算程動揺減少効果がでないことを確認した。
これ等の結果は主要寸法制約下で動揺を軽減するには、どの因子を考慮すればよいか、今後の船型計画の参考になろう。
4. 乗り心地のよい低動揺型船体形状;
以上の船体形状の調査研究結果として、最も普通の単胴型フェリー船型を例にとれば、不規則波中で上下加速度の標準偏差で13〜14%の低減、嘔吐率で17〜18%の低減が可能と推定される。この数値は他の諸性能を損なわず、船体形状の改良だけによるもので、大きな効果と云えよう。
なお、嘔吐率の評価は在来の加速度と嘔吐率だけによる尺度を用いたもので、本調査研究による乗り物酔いの評価が完成すれば、より総合的な評価が出来、詳細な設計指針が得られると考えられる。

 

 

 

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